REAL LIFE

フレブルの寿命は海外より長い?海外との比較で見えた「もっと長生きできる」可能性

フレンチブルドッグの平均寿命が、11歳を超えました。

アニコム損害保険のデータをもとにした『家庭どうぶつ白書2025』によると、日本のフレンチブルドッグの平均寿命は11.1歳。

長くフレブルと暮らしてきた人なら、この数字を見て「やっぱり」と思うかもしれません。

ひと昔前まで、フレブルは「10歳を超えたらすごい」と言われる犬種でした。

もちろん、今でも10歳は立派なシニアです。

けれどSNSを開けば、11歳、12歳、13歳のフレブルに出会うことは、決して珍しくありません。14歳、15歳という子だっています。

私自身、15年以上フレンチブルドッグの世界を見てきて、ずっと感じていることがあります。

「フレブルは、長生きになっているのではないか」

そして、もうひとつ。

「私たち次第で、もっと長生きできるのではないか」

そんな疑問から、世界のフレンチブルドッグの寿命について調べてみました。

日本のフレブル、平均寿命は11.1歳

まずは、日本の最新データから見てみましょう。

アニコムの『家庭どうぶつ白書2025』では、2023年度の保険契約データをもとに、フレンチブルドッグの平均寿命を11.1歳としています。

少しだけ詳しく説明すると、それぞれの年齢で「何頭が生存していて、何頭が亡くなったのか」というデータから「生命表」を作り、0歳の犬が平均してあと何年生きると考えられるのかを算出した数字です。

つまり、単純に「亡くなった犬の年齢を足して頭数で割った数字」ではありません。

ちなみに、同じデータにおける犬全体の平均寿命は14.1歳。

それと比べれば、フレンチブルドッグは決して長寿犬種とはいえません。

鼻が短いことをはじめ、その特徴的な身体ゆえに、さまざまな疾患リスクを抱えていることも事実です。

ところが、海外に目を向けてみると、興味深いことがわかります。

日本で報告されているフレンチブルドッグの寿命は、海外と比べると比較的長いのです。

世界のフレブルは、何歳まで生きるのか

近年発表された研究を中心に、各国のデータを見てみましょう。

国/平均寿命備考欄
日本①
11.1歳
アニコム『家庭どうぶつ白書2025』による平均寿命。
日本②
10.2歳
2012〜2015年に東京都内の動物霊園で火葬・埋葬された12,039頭を調査した研究。
このうちフレンチブルドッグ151頭の平均寿命と死亡年齢の中央値は、どちらも10.2歳。
英 国
9.8歳
2024年に発表された、英国の犬584,734頭を対象とした大規模研究による寿命中央値。
ドイツ
8.3歳
2025年に発表されたフレンチブルドッグ574頭の調査で、死亡年齢が確認できた個体の中央値。
スイス
7.7歳
スイスのフレンチブルドッグを対象とした既報研究による数字。
ポルトガル
6.29歳
国の犬登録データを利用した研究で、フレンチブルドッグ2,726頭の出生時平均余命として報告されている。

こうして並べてみると、日本の10.2〜11.1歳という数字は、海外で報告されている数字よりも高い水準にあります。

ただし、ここでひとつ注意したいことがあります。

これらの数字は、単純に「日本11.1歳、英国9.8歳。だから日本のほうが1.3歳長生き」と比較できるものではありません。

なぜなら、研究によって寿命の計算方法が違うからです。

たとえば、亡くなった年齢を並べたときの真ん中を示す「死亡年齢中央値」もあれば、生まれた時点であと何年生きると予測されるかを示す「出生時平均余命」もあります。

さらに、調査された年代や犬の数、対象となった犬たちの条件も異なります。

そのため、このデータだけを見て「日本のフレブルは世界で一番長生きです」と断言することはできません。

それでも、日本で報告されている寿命が、海外の複数の研究と比べて長い傾向にあることは、とても興味深いと思います。

では、なぜなのでしょうか。

「日本のフレブルオーナーは、過保護だよね」

以前、アメリカで暮らすフレンチブルドッグオーナーを取材したことがあります。

そのとき、日本のフレブルオーナーについて言われた言葉が、今でも印象に残っています。

「日本のフレブルオーナーって、過保護だよね」

もちろん、これはたったひとりのオーナーの意見です。

日本とアメリカのフレブルオーナーを比較した研究があるわけでも、科学的な根拠があるわけでもありません。

当時の私は単純に、「国によって犬との暮らし方は違うんだな」と思っていました。

でも今回、世界のフレンチブルドッグの寿命について調べているうちに、ふとこの言葉を思い出したのです。

もしかしたら、その“過保護”こそが、フレブルの命を守っているのではないでしょうか。

ここでいう「過保護」は、もちろんポジティブな意味です。

むしろフレンチブルドッグという犬種に限っていえば、過保護なくらいで、ちょうどいい。

そう考えるだけの理由があります。

フレブルには「飼い主が防げるリスク」がある

その代表的なものが、熱中症です。

「フレブルは暑さに弱い」

これは飼い主の間では昔からよく知られています。でも、単なるイメージや経験則ではありません。

英国で90万頭以上の犬の診療記録を調べた大規模研究では、フレンチブルドッグはラブラドール・レトリーバーと比べて、熱関連疾患になる確率が6.49倍でした。

つまりフレブルにとって、暑さは「ちょっと苦手だから気をつけよう」という程度の話ではありません。暑さそのものが、命に関わるリスクなのです。

でも、熱中症にはひとつ大きな特徴があります。

それは、飼い主が先回りして防げる余地が大きいことです。

暑い時間帯には散歩をしない。真夏はエアコンを切らない。車内で待たせない。激しい運動をさせない。呼吸やパンティングの変化を見逃さない。そして「危ないかもしれない」と思ったら、早めに行動する。

ひとつひとつは、フレブルオーナーなら「そんなの当たり前」と思うことかもしれません。

でも、その“当たり前”が、命を守っている可能性があるのです。

「ぽっちゃり」も、フレブルにとってはリスクになる

そして、もうひとつ飼い主がコントロールできる大切なものがあります。

体重です。

少しくらいぽっちゃりしているほうが、フレブルらしくてかわいい。そう感じる人もいるかもしれません。

でもフレンチブルドッグの場合、肥満は見た目だけの問題ではありません。

ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグの呼吸機能を調べた研究では、肥満のフレンチブルドッグは、肥満ではないフレブルと比べて、BOAS(短頭種気道症候群)を臨床的に発症している確率が2.9倍でした。

BOASとは、鼻や喉などの構造によって空気の通り道が狭くなり、呼吸がしづらくなる短頭種特有の病気。

ただでさえ呼吸にハンディキャップを抱えやすいフレブルにとって、余分な脂肪をつけないことには大きな意味があ流のです。

そして、体重は暑さへの弱さにも関係します。

先ほど紹介した英国の90万頭以上を対象とした研究では、犬種や年齢などを考慮したうえでも、同じ犬種・性別の平均体重以上だった犬は、それ未満の犬と比べて熱関連疾患になる確率が1.42倍でした。

つまりフレブルの場合、もともとの「呼吸のしづらさ」や「暑さへの弱さ」に、体重というリスクが重なる可能性があります。

だからこそ、暑い日は無理に散歩をしない。その一方で、運動量が減る季節には食事量を調整し、体重が増えていないかをチェックする。「ちょっと太ってきたかな」の段階で、早めに対策する。

これもまた、フレブルの身体を知っているからこそできる“先回り”。

フレブルにとって体重管理は、単なるダイエットではありません。

呼吸を守り、暑さから守るための健康管理のひとつなのです。

「今日は散歩をやめる」という愛情

たとえば、暑い夏の日。

他犬種のオーナーから見れば、「今日はちょっと暑いから、散歩はやめておこう」という判断は、過保護に映るかもしれません。

けれど、フレブルの場合は違います。その判断には、きちんと理由があります。

フレンチブルドッグのような鼻の短い短頭種は、呼吸によって体温を下げることが得意ではありません。

犬は人間のように全身から汗をかいて体温を下げることができないため、パンティングと呼ばれる「ハァハァ」という呼吸によって、身体の熱を逃がします。

ところが鼻や気道の構造に特徴があるフレブルは、この体温調節にハンディキャップを抱えています。

2025年にドイツで発表された研究でも、鼻がより短いフレンチブルドッグほど、呼吸の異常や暑さへの不耐性などとの関連が強いことが報告されています。

私たちは、フレブルの身体そのものを変えることはできません。

でも、その身体に合わせて、暮らし方を変えることはできる。

暑いなら、外へ出さない。運動量が減るなら食事と体重を管理する。少し呼吸がおかしいと思ったら、病院へ行く。定期的に健康診断を受ける。昨日までとは違う、小さな変化を見逃さない。

そう考えてみると、「過保護」という言葉の意味が少し変わってくる気がします。

フレンチブルドッグにとっての“過保護”とは、その犬種が抱えているリスクを知り、飼い主が先回りしてあげることなのかもしれません。

日本の犬は、本当に長生きになった

そして、もうひとつ興味深いデータがあります。

フレブルに限らず、日本では犬そのものが長生きになっています。

東京大学の研究チームが、2012〜2015年に東京都内8カ所の動物霊園で火葬・埋葬された12,039頭を調べた研究では、犬全体の平均寿命は13.7歳でした。

約30年前に同じような方法で行われた調査では、8.6歳。

つまり、日本の犬の平均寿命は約30年間で、8.6歳から13.7歳へ。

研究では、1.67倍に延びたと報告されています。

これは、かなり大きな変化です。

研究者らは、その背景としてペットフードや獣医療の発達などによって、日本の家庭犬の健康状態が改善してきた可能性を指摘しています。

たしかに、医療は進歩しました。食事も変わりました。昔なら治せなかった病気を、治療できるようにもなりました。

でも私は、それだけではないと思っています。

犬と暮らす私たちの意識も、この30年で大きく変わったのではないでしょうか。

「過保護」が命を延ばしている可能性

もちろん、「日本のフレブルが海外より長生きなのは、日本人が過保護だからです」と証明した研究があるわけではありません。

これは、あくまでひとつの仮説です。

そもそも海外との寿命の差についても、先ほど説明したように、研究方法や調査対象となった犬たちの違いが数字に影響している可能性があります。

ですから、「日本人は過保護だから、日本のフレブルは長生きしている」と結論づけることはできません。

ただ、ひとつ確かなことがあります。

フレンチブルドッグには、飼い主の行動によって減らせるリスクがあります。

熱中症を防ぐ。肥満を防ぐ。呼吸の異常に気づく。身体の変化を観察する。適切なタイミングで病院へ行く。そして、必要な治療を受ける。

もちろん、すべての病気を防ぐことはできません。生まれ持った身体的特徴を変えることもできません。

それでも、飼い主が防げる病気があります。飼い主の判断によって、救えるかもしれない命があります。

これは、フレブルと暮らす私たちにとって、とても大きな意味を持つことだと思います。

長生きは、飼い主の成績表ではない

ただし、ここでひとつだけ、どうしても書いておきたいことがあります。

長生きしたから、いい飼い主。若くして亡くなったから、何かが足りなかった。

そんなことは、絶対にありません。

フレンチブルドッグには遺伝的な疾患も多く、どれだけ気をつけて暮らしていても避けられない病気があります。

突然、病気になることもあります。どれだけ手を尽くしても、どうすることもできない命だってあります。

だから寿命を、愛情の量や飼い主の努力と結びつけるべきではありません。

そのうえで。

これから守れる命について、考えることはできると思うのです。

「フレブル11歳」を、ゴールにしない。

日本のフレンチブルドッグの平均寿命、11.1歳。

この数字を見て、「フレブルは11歳くらいまで生きる犬なんだ」と思考を止めてしまうのは、もったいないような気がします。

むしろ、「ここから、どこまで延ばせるだろう」と考えたい。

かつて「10歳を超えたらすごい」と言われていた犬たちが、11歳になり、12歳になり、13歳になる。

そしていつか、「フレンチブルドッグは短命な犬種」という言葉そのものが、過去のものになる。

そのために必要なのは、ものすごく特別なことではないのかもしれません。

今日は暑いから、散歩へ行かない。

少し息がおかしいから、病院へ行く。

体重が増えたから、食事を見直す。

定期的に健康診断を受ける。

昨日と今日の、小さな違いに気づく。

「そこまでしなくても大丈夫だよ」

そう言われるくらいで、ちょうどいい。

だって私たちが暮らしているのは、フレンチブルドッグだから。

もっと、過保護でいい。

ひとりひとりがフレブルという犬を知り、リスクをひとつずつ減らしていく。

その積み重ねの先に、12歳、13歳、14歳を迎えるフレブルが、今よりもっと当たり前になる未来があるかもしれません。

参考資料

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
chika

フレンチブルドッグ歴17年。 1万頭以上のフレブルに出会ってきたのが自慢。 Instagram:@chica.y

  1. 【連載マンガ】こいぬとフレブル #11ー舌出し。

  2. フレブルの寿命は海外より長い?海外との比較で見えた「もっと長生きできる」可能性

  3. 【フレブルのシャンプー】ジョー マローンを使ってみた!香り・泡切れ・仕上がりを本音レビュー

RECOMMEND
RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

RELATED

PAGE TOP