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だって、フレブルだもの。―ヨコタアイコ

かなり昔のこと、居酒屋だかのトイレに貼ってあった相田みつをさんのカレンダーに、「にんげんだもの」の詩が書かれていました。詩の内容は覚えていないのだけれど、その「にんげんだもの」という酔っぱらいも悪人も丸ごと肯定しちゃうようなパワーワードが妙に頭に残り、フレブルを迎えて以来、そのワードは私のなかで「フレブルだもの」という文字に勝手に書き換えられて今に至ります。

フレブルだもの。この言葉には、だってフレブルなんだからこのくらいは仕方ないっしょ! 的なニュアンスが大いに含まれており、裏を返せばフレブルだからこのくらいのことは許されて然るべし。と、オーナーではなくフレブル側が思っているフシさえある。そんなふうに思うのです。彼ら、きっと許してもらえることがわかっていてやっていますぜ、奥さん。

たとえば愛ブヒである楽太郎を見ていると、悪戯をするときはこちらの表情をチラチラ伺いながらやっていたり、ぎりぎり怒られるかどうかの限度をしっかりと計算して「やんちゃ」をしでかしている気がします。フレブルのなかには壁に穴を開けたり(!)吊るされたカーテンに飛びついてカーテンレールごと引き摺り倒す(!)という猛者も存在しますが、きっとやらかし具合が派手なフレブルたちも皆、「へへへ、このキュルンとした瞳で顔を覗き込めば許してくれるっしょ」くらいのことは考えているはず。だって、フレブルだもの。

そしてそんなやらかしを目の当たりにしたとき、私たちオーナーは一瞬唖然としたり憤ったりするのですが、目の前でヘラッとしているまあるい奴らと目が合えば、「ああ、フレブルだものな」と妙に納得してしまう。これはフレブルオーナーあるあるのひとつかもしれません。

フレブルってね、いかにも「しでかしそうな風体」じゃないですか(※筆者個人の感想です笑)。

小ささや可愛さが前面に出ている小型犬と比べても、逆に凛とした雰囲気を漂わせた日本犬や大型犬たちと比べても、なんだか何かやらかしそうな匂いがぷんぷんします。

とはいえ、別にやらかすのは悪さだけではなく、優しい一面、健気な一面、愛らしい表情も含め、とにかくオーナーに対してこちらが驚くほど豊かな表情で喜怒哀楽を表現し、かつ、中にちっさいおっさんが入っているとしか思えない行動をする。これがフレブルの大きな魅力なのだけれど。

なお、人間味あふれるフレブルたちはよく「人みたいだよね」と言われがちですが、中に入っているであろうとされるのは大抵の場合おっさんで、中にうら若き乙女や白馬の王子様が入っているなんて予測されるケースは非常に稀です。というか、今まで数多のフレブルオーナーさんと出会いましたが、一度も聞いたことがない。

そしてみなさん口を揃えてこういうのです。「だって、フレブルだもの」と。

フレブルだからこのぐらいは仕方ないかと、よくよく考えてみれば謎な理由で大抵のことは許され、実のところは諸々デリケートな部分も多いフレブルだからこそ、オーナーさんは過保護にも思えるほどに様々な部分に気を遣う。いわば、永遠にやんちゃ盛りの小学生が家にいるようなもの。「もー!」と思うことはしょっちゅうあるけれど、そのやらかしも含めてとびきり愛おしく、どれほどしてやられても結果ちょっと笑ってしまう。この感覚はフレブルオーナーにしかわからないかもしれません。

そしてはたと自分のことを振り返ってみれば、もしかすると私はフレブルと出会ったことで少しだけ心が広くなったのかも。大阪で言うところの「いらち(短気、せっかちの意味)」だった私ですが、フレブルと暮らすようになり、次第に彼らのやらかしに対して笑ってやり過ごせるようになってきた。

大抵のことは「フレブルだものな」で許されてしまう彼らといることで、こちらもいつしか寛容になってしまうのか。それとも、人間味はあるのに人間のような打算はなく、まっすぐ無邪気に悪戯をする彼らの純粋さに触れて、心がまあるくなっていくのか。

その真相はまだわからないけれど、今日も全国のフレブルオーナーさんが相棒のやらかしに「コラー」と声を上げつつ、目があった瞬間になんだか笑えてきて「まあ、フレブルだものな」なんて呟きながら目尻を下げているのでしょう。

フレブルと暮らしたことで色々なつながりができ、新しい世界が広がったというオーナーさんはたくさんいますが、外の世界に広がりやつながりを持たせる以上に、まずは自分自身が変えられてしまう。ささくれ立っていた心もいつしか彼らの体と同じようにまあるい形に整えられ、内側から私たちを変えてしまう。これはフレブルが持つ不思議な能力のひとつ。

そういえば冒頭の相田みつをさんの「にんげんだもの」ですが、改めて調べてみればその詩には、完璧を目指さず、弱さを持ったまま生きる人間味を肯定する言葉が並んでいました。とても短い詩なのですが、これを読むにつけ、完璧でなくてもいい、弱くたって愛おしい、やらかしたっていいじゃない。なんて、なんだかやっぱりフレブルに当てはまるなあと、妙に納得してしまったのでした。

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Aiko Yokota

大阪在住ライター。 フレブルをこよなく愛し、フレブルにふりまわされる女。きっと前世はフレブル、知らんけど。

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