フレンチブルドッグと暮らして17年。
今までに2頭のフレンチブルドッグを介護し、彼らを見送りました。
長男・ジュブは脳腫瘍、次男・エレブは老衰。
症状が異なるので、介護の仕方も全く違いました。
2頭分ご紹介すると長くなりそうなので、今回は「脳腫瘍の介護」に焦点を当てて、当時役に立ったアイテムをご紹介します。
【介護の背景】長男ジュブは、11歳で脳腫瘍に

長男のジュブは11歳のころ脳腫瘍になり、3ヶ月の闘病の末に旅立ちました。
発作が命取りになってしまう脳腫瘍は、ほぼ目が離せない状況。
発作が出たらすぐに薬を投与しなければならないし、長く続く「重積発作」の場合は救急病院へ行かなければなりません。
またジュブの場合は発作の頻度も多かったため、24時間体制で見守っていました。
夫が昼担当、私が夜担当。リビングにも簡易布団を用意し、何かあったらいつでも動ける状態に。
(当時はコロナ禍で、幸いにも二人でリモートワークだったのです)
脳の病気を患う子の特徴

脳腫瘍に限らず、脳の病気を患っている子の特徴として「徘徊」があります。
ジュブの場合は、意識や目的がないままウロウロし、自ら狭い方に進んで動けなくなり、パニックで発作を起こす。
調子が良くない日は身体が思うように動かず、立とうとしても立てない、それがもどかしくて、また発作を起こす。
やはり犬の本能なのか、どうしても歩きたがるのです。
けれどヨロヨロして転んでしまうと危険だし、そこからまた起き上がれなくなって発作を起こすこともありました。
そしてもちろん、食事や薬の投与も工夫が欠かせませんでした。
これらを踏まえ、脳腫瘍の介護中に役立ったアイテムをご紹介していきます。
★お役立ちアイテム①:長めのタオル

歩きたくても歩けない時、初めは手でカラダを支えて歩かせていました。
ところが、ずっと”前かがみ”でいるため、恥ずかしながら飼い主の腰がやられてしまったのです。
そこで役立ったのが、バスタオルでした。
バスタオルの真ん中を愛犬のお腹の下に通し、そのまま左右を上に持ち上げる。

それを手に持って一緒に歩くと、安定するだけでなく、飼い主の腰の負荷も激減しました。
いろんなタオルを試しましたが、長さのある分厚すぎないタオルがベター。
分厚すぎると持ちにくく、手が疲れてしまうので、薄いけど長さのあるものがおすすめです。
介護用ハーネスは、愛犬には不安だった

ちなみに介護犬の歩行に特化した「介護ハーネス」も存在します。
タオルよりも遥かに体を包んでくれて、持ち手も掴みやすそう。
では、なぜ取り入れなかったのか。
それは「愛犬が嫌がりそうな予感」がしたからです。
脳腫瘍の特徴として(ジュブの場合)、カラダに”慣れない何か”が触れるのを極端にイヤがっていました。
意識が朦朧としていて、飼い主か獣医師かの判断もできない状況だったので、何かが触れるたびにカラダがビクッとしていたのです。

ゆえに「装着」の手間と、カラダに触れる面積が大きい点で、発作が起きるのではないかと思い、取り入れるのをやめました。
でも今思えば「一回くらい試すべきだったかなぁ」とも思います。
理由はシンプルで、”特化したアイテム”だから。
当時は予想だけで拒みましたが、使ってみたらまた世界が変わっていたかもしれません。
もしまた愛犬が脳腫瘍になり介護をすることになったら、きっと使ってみると思います。
★お役立ちアイテム②:ヨガマット

冒頭で、脳腫瘍の場合ヨロヨロして歩けないことがある、とお伝えしました。
我が家のフローリングは走っても滑らない仕様になっているので、カーペットは使っていません。
しかし介護中になると、フローリングでは足腰に力が入らないのか、滑らないけど「立ちにくい」状態になったのです。

これはカーペットも同様で、急遽用意して敷いてみましたが、滑って立ち上がることはできませんでした。
そこで役に立ったのが、ヨガマットです。

ゴム製なのでズレることもなく、足腰にも力が入りやすい。
これを敷いてあげると、ヨガマットの上では立ってウロウロするようになりました。
調子がいい日は家中をウロウロするので、一時期部屋中にヨガマットが敷かれていた時期もあります(笑)。
掃除がしやすいメリットも!

さらに介護中は、ごはんの食べこぼしや排泄の失敗も多いですが、その点でもヨガマットは最強。
汚れてもウェットティッシュで拭けば、すっかりキレイになるのです。
これは掃除の点でも大変助かっていました。
ちなみに選ぶポイントとしては、できる限り凹凸が少ないものがおすすめ。
ボコボコしていると、つまずいて転んでしまう場合があります。
★お役立ちアイテム③:ペット用ゲート

脳腫瘍に限らず、脳の病気や認知症を患う子は、徘徊しながら「隙間に行きたがる」という症状があります。
これは科学的には証明されていないものの、臨床的には”典型的な行動”とされています。
ジュブもご多分にもれず、歩ける日はウロウロして隙間に行き、そこから出られなくなりパニックを起こしていました。
※認知機能が落ちると、後退(バック)の判断が苦手になるそう
我が家の場合、ここでのパニックも発作の原因になっていたので、ありとあらゆる隙間をペットゲートで封鎖しました。
テレビとスピーカーの間、棚と棚の間など、フレブルが通れそうな隙間には全てゲートを置くようにしたのです。

すると「行き止まり状態」になるので、隙間に行くことがなくなりパニックの機会を減らすことができました。
★お役立ちアイテム④:太めのシリンジ(60ml)

介護中、スプーンでも食べることが難しくなったら、シリンジで流動食や薬を与えるようになります。
シリンジにもたくさん種類があって、細い/太い、先が湾曲しているもの。おそらくほとんどのシリンジを試したと思います。
あくまでもジュブの場合ですが、彼には「太いシリンジ(60ml)」が合っているようでした。
細いシリンジは、口を開けなくても歯の隙間から入れられるのは良い点。
ただし「食べる・飲む」に気づいていないのか、飲み込まずにそのままタラタラと垂れてしまったのです。
一方太いシリンジは、ちゃんと口を開けて入れられるので、時々先っぽを噛みながらゴクゴクと飲んでくれました。

さらに一度にたっぷり入るので、その勢いで一気に必要量を与えられるのも助かった点です。
フレンチブルドッグの体重を踏まえると、一日に必要な水分量はなかなか多い。
細いシリンジだと「これを何回繰り返せばいいんだろう」と、飼い主も少し気が遠くなりますし、そもそも途中で愛犬が疲れてしまう。
こればかりは相性があると思いますが、ぜひ一度太いシリンジを試してみるのはおすすめです。
★お役立ちアイテム⑤:ブランケット(丸めて使う)

脳腫瘍で大切なのは、脳への負担をできるだけ減らすこと。
フレブルがよくやる、頭をダラ〜ンと下げた姿勢は、頭蓋内圧を高めやすく、症状悪化につながることがあります。
そこでブランケットを畳むor丸めて、頭の下に敷いてあげるのです。
高すぎるのも良くないので、中判サイズを3つ折りにするくらいがベター。

あるいは小さめのブランケットを丸めてあげても良いです。
他のシーンでもブランケットは活躍してくれて、丸めてカラダの横に置くと「徘徊防止」に。

歩きたいけど歩けない時、ブランケットが”やわらかい壁”になってくれて、そのまま眠ってくれていました。
▼実際に写真で使っているもの
【番外編】使ってみたかったアイテム

ここからは、愛犬が旅立った後に存在を知り、使うことができなかったアイテム。
これを見つけた時「なんで早く気づかなかったんだろう」と悔しい思いをしました。
それが、リラクッションです。
介護中にごはんをあげるとき、最も注意すべきは誤嚥(ごえん)です。
これを防ぐためには、体勢を起こしてごはん・お水をあげることが必須。
高さの目安としては、ちょうど愛犬が4本脚で立ったときくらいと言われています。

我が家は飼い主があぐらをかいて、その太ももに愛犬の顔を乗せて食事を与えていました。
でも介護中の愛犬は身体に力が入っていないので、よくズレ落ちてしまいます。
愛犬の体勢を保ちながら、誤嚥にも気をつけて食事をあげる…これはなかなか大変です。
そんな時、リラクッションがあれば「ベストな体勢」を保ってくれるので、食事をあげることに集中できます。

これは早く知りたかったアイテム。
ジュブが旅立ってから、同じ病気で悩むフレブルオーナーさんからご相談をいただいた時は、おすすめするようにしています。
そして、もしまた愛犬が脳の病気で介護が必要になったら、必ず使うと思います。
動画をたくさん撮ろう!そして、頑張る自分にもご褒美を。

最後に、介護と旅立ちを経て「これをやってよかった」と感じたことを。
それは、たくさん動画を撮っておいたことです。
スマホで愛犬の撮影はもちろん、特によかったのは、留守番カメラの動画機能で「全体を撮影する」こと。
家族みんなが写っていて、それぞれが頑張っている様子を残すことができます。
久々に愛犬が立った時にガッツポーズしている姿、腰を痛がりながら一緒に歩いている様子。
誰にも見せられないヨレヨレのパジャマ、すっぴん、ボサボサの髪の毛。
そして、そんなのお構いなしに、ひたすら頑張る愛犬の姿。
これこそが本当の”リアル”で、見るたびに当時を鮮明に思い出し、「みんなよく頑張ったね!」と思えるのです。
(さすがに誰にも見せられないけれど…笑)
留守番カメラはこういう使い方もできるのだと、またひとつ学んだ瞬間でした。

そして介護は愛犬と同じくらい、オーナーさんも頑張っています。
愛を込めて夢中になることは大切ですが、どうしても大変な時は、数日間介護専門のホテルに預けてリフレッシュするのも大事。
我が家の場合、コロナ禍だったので夫婦そろって在宅していましたが、状況が違えば介護生活も異なっていたかもしれません。
きっと、いろんな人やサービスに頼っていたと思います。
そして3ヶ月の闘病を経て愛犬が旅立ち、しっかりお葬式をした後は、夫婦ふたりで「お疲れ様会」をしました。
いつもは行かないようなレストランを予約し、少しだけオシャレをして贅沢をする。
美味しい食事とお酒を楽しみながら、ひたすらジュブの思い出を話すのです。
これは生涯に残る、大切な時間となりました。
もし介護をされている方、これから介護をする方がいたら「オーナーだって頑張っている」ことを忘れないでください。
そしてたまには、息抜きを。
大丈夫、フレブルオーナーはみんな、あなたの味方です。