今回お届けするは、フレンチブルドッグと閉所恐怖症について。
今まで2頭のフレンチブルドッグと暮らした経験において、「閉所」について感じていたことを素直につづっています。
そして私は、気になったら納得いくまで調べたり”その道のプロ”に聞くタイプ。
今回も信頼できる獣医師に、閉所恐怖症について聞いてきました。
フレンチブルドッグにも閉所恐怖症はあるのか

愛ブヒの楽太郎と暮らしていて感じるのが、フレンチブルドッグにも閉所恐怖症はあるのだろうか? という疑問です。
というのも、とにかく楽太郎は閉じ込められるのが嫌いで、リビングに置いてあるケージはもちろん、ペットカートに乗せても「ここから出せ、今すぐ出せ」と言わんばかりに大騒ぎ。
時には脱出を試みカートから飛び出したことだって1度や2度じゃありません。
なお先代のフレブル、大福は当初ケージが好きではなかったもののいつの間にか「自分の空間」と認識して眠い時なんかは自ら入っていたし、カートにいたっては「ほほぅ、楽ちん楽ちん」とばかりに気に入って乗っていました。
我が家のケージもカートも大福のお下がりのものですが、もしかして他の犬の匂いがするから嫌なのかしらと思ったこともあるけれど、先代が愛用していたベッドは気に入って使っているし、ブランケットも離しません。
となると、やはり閉所が苦手なのか? と疑ってしまうのです。
獣医師さんに見解を聞いてみました

しかしお出かけ時はカートに入ってくれると助かることも多いので、どうして狭いところを嫌がるのだろうかと悩んでいたのですが、はい、こういうときはまず動物のプロ、獣医さんに聞くに限るので早速聞いてみました。
「先生、犬にも閉所恐怖症ってあるのでしょうか」とド直球の質問をぶつけてみたら、
「人間の閉所恐怖症と同じ心理診断とは異なりますが、閉所恐怖症のような反応はよくある」とのお答えが。
動物行動学によれば「閉じ込め不安」「分離不安」「不慣れ」の3つが考えられるそうで、例えば楽太郎の場合、我が家に来て3日後に剥離骨折で手術をしたのですが、その時に1日だけ入院したことがあり、その際に病院のケージに入れられたことがトラウマになっている可能性があるとのこと。
ただ、まだブリーダーさんの元にいた頃から夜にケージに入れるとほかの兄弟たちがすんなり眠るのに対し、楽太郎だけいつまでも「ブーブヒ!」と不服申し立てをしていた動画が残っているため(笑)、それを話すと「そもそも拘束されることが嫌いなタイプなのでしょう」とアドバイスをいただきました。
この「拘束されるのが嫌い」というのは前述した「閉じ込め不安」に近いもので、ケージやクレート、キャリーなどに閉じ込められた時に不安を示す症状。
典型的な行動は吠えたり脱出を試みるなどで、分離不安と同時発症することもあるけれど、完全に別物の症状として起きることもあるのです。
分かりやすく言えば、自由に出入りできない状態や、自ら入ったのではなく人に入れられたことが嫌! ということ。
昔の犬は巣穴が好き。それは自由に出入りできる前提

ところでフレブルはじめ犬たちは、遥か昔に洞窟のような巣穴で暮らしていた本能から狭く暗い場所は安心できるというのが通説だけど、これだって「自ら出入りできる」ことが前提のもの。
私たちもトイレ中に何かしらの理由でここに閉じ込められたら…なんて想像すると不安になるけれど、こんな感覚なのかもしれません。
さらに、行動学的には犬の安心にはコントロール感が関係するとも言われていて、自分で出ることができると思える、出入りを選べる、だけでストレスはかなり軽くなるそう。
つまり閉所恐怖症というよりは、自由に動けるスペースが限られた空間で出口がないことに対しての不安に近いようです。
確かに考えてみれば、我が家は基本フリー。
留守番時も階段やキッチン以外は自由に動ける状態だし、日常でケージに入れることもほとんどない(現在に至っては楽太郎の不服申し立てに根負けしてケージはもはや置物状態)。
閉じ込められるという状態に不慣れであるうえ、自分の意思ではなく閉じ込められるという状況が彼にとって我慢ならないのも分かります。
逆に、同じ狭く閉じた場所でも布団のなかに潜り込むのは大好き。
こういうところは犬の本能の巣穴落ち着く説を彷彿とさせますが、確かに布団は自分で自由に出入りができるもんねえ。
ただし、閉じ込め不安を改善する方法もちゃんと先生に聞いてきました。
獣医師に聞いた「閉じ込め不安」の改善法

少し聞き慣れない言葉だけれど、その方法は段階的脱感作(gradual desensitization)というもので、不安や恐怖を感じる対象にリラックスした状態で弱い刺激から徐々に慣らしていくもの。
この段階的脱感作とセットでカウンターコンディショニングを行うのだけど、こちらは嫌な感情を別の感情で上書きする学習のことだそう。
この2つを組み合わせるのですが、具体例を挙げると、常に扉を開けっぱなしにしたケージやカートの中にお気に入りのおもちゃなどを置き、自分から出入りできる状態にしておく。
自ら入ったらご褒美をあげ、慣れてきたら10秒、30秒、というように滞在時間を伸ばす。
閉じ込め不安の場合は扉を閉めることがトリガーになることが多いため、扉を閉める練習は入ることに慣れてから。
入る→1秒扉を閉める→開ける→ご褒美、といった感じで段階的に行うのがコツだそう。
自由に出入りできる場所という感覚を覚えさせながら、そこに入るとご褒美という嬉しいことが起きるんだと思わせる、これが大事。
逆に、ケージなどに入れて慣れるまで鳴かしておくのは逆効果で、パニックが強化されてしまうんだとか。
お互いの”いい塩梅”を見つけてみよう

ここまで教えてもらった後、先生は少し笑いながらこう言いました。
「楽太郎くんは、自由を愛する子なんですね」と。
私、このひと言ですこんと腑に落ちました。そもそもフレブルってとにかく自由な犬であることを思い出したのです。
もちろんクレートトレーニングやケージレストはできるに越したことはないけれど、自由でありたいと行動で示す楽太郎の気持ちも大事にしてあげるべきなんだと。
とはいえ、カートから飛び出されるとやっぱり困るので、先生に教わった方法で少しずつ慣れてもらおうとは思っているものの、自由を謳歌する性格もフレブルが数多持つ魅力のひとつ。
本音では嫌いであろうことに慣れさせこちらに寄せてもらうよりも、「まあこのくらいまでは譲歩するか」と互いに歩み寄るくらいの気持ちでトレーニングすることが、フレブルとの暮らしはまあるく回るんじゃないか。そんな気がしています。
ケージ嫌い以外にも愛ブヒのしつけに悩む人はたくさんいますが、フレブルの個性やタイプは千差万別。それはオーナーさんだって同じです。
だからしつけ方法に正解なんてものはない。
それぞれのおうちのペースで、楽しみながらできるトレーニングを見つけていく。
フレンチブルドッグと暮らすというのは、きっとそういうことなんだろうと思います。