フレンチブルドッグにまつわる仕事に携わって、15年が経とうとしている。
今まで何家族のフレブルファミリーを取材してきたのだろう。
良い意味で数える気がないほど、本当にたくさんのファミリーに出会ってきた。
私はこの仕事を「仕事」と思っておらず、いちフレブルオーナーとして趣味の延長のように捉えている。
そして私も人間である。一度取材させていただいたファミリーは絶対に忘れないし、特別な感情を抱くことだってある。
というわけで、この15年間で思い出深いフレブルファミリーたちを、勝手にご紹介していきたいと思う。
今回は、フレンチブルドッグ「ろこん」ファミリー。
ろこんファミリー:「フレブルライフ」スタート時から10年近いお付き合い

今日ご紹介させていただくのは、数年前に旅立ったフレンチブルドッグ・ろこんのパパさんとママさん。
ろこんファミリーとは、もう10年近いお付き合いになる。
出会いは、Webメディア「French Bulldog Life(フレブルライフ)」を立ち上げてすぐの頃。
当時は自分たちでイベントを主催するなんて想像すらしておらず、ひたすら色んなフレブルイベントに出展する日々。
とはいえ、売るものもなければ、展示するものもない。
だけど「French Bulldog Life(フレブルライフ)」の存在は知ってほしい。
そんなワガママなブースに誰も立ち寄るわけがなく、ほぼ空っぽのテントで数時間過ごしたことは、今でも鮮明に覚えている。
そんな哀愁まみれな私たちの元にやってきくれたのが、ろこんファミリーだった。
「このブースは何ですか?」
「実はフレブルライフというメディアをやっていまして」
たしか最初の会話はこれくらい。あとはひたすらフレンチブルドッグのろこんと戯れただけだった。
有意義な情報も与えられず、ただろこんと遊んでいただけなのに、そのファミリーはイベントに出展するたびにブースへ遊びに来てくれるようになった。

「フレブルライフ」も少しずつ成長し、フレブルグッズを販売したり、靴の無料試着会をしたり、撮影会をしたり。
色んな人がブースへ遊びに来てくれるように。(本当にありがたいです…)
ろこんファミリーは私たちが出展するイベントはほぼ毎回来てくれ、ブースが忙しそうな時はチラッと見てその場を去り、隙間ができたら顔を見せに来てくれる。
その気遣いもまた、嬉しかったのだ。
ろこんファミリーは「フレブルライフの成長をそばで見てきてくれた人」といっても過言ではない。
忘れられない出来事。第一回「フレブルLIVE」には車椅子で。
そんなろこんファミリーは、メディア主催のイベント「French Bulldog LIVE(フレブルLIVE)」にも第一回から足を運んでくれた。
そしてその第一回「フレブルLIVE(2022年)」で、生涯忘れられない出来事が起こった。
当時ろこんファミリーのパパさんは足の具合が悪く、「チケットは買ったけど行けないかもしれない」とのことだった。
ところが直前になって「車椅子を借りたから、やっぱり行かせてほしい!」と連絡をいただいたのだ。
もちろん嬉しいけれど、どうかお身体を最優先してほしい。
無理だけはしないでほしいと伝え、当日を迎えることになる。
私がステージ観覧エリアをウロウロしていると「お〜い!」と声が聞こえてきた。
パパさんの声だとすぐにわかり、声がする方へ目を向けてみる。
すると、車椅子に乗ったパパさんと、その横に座るママさんとフレンチブルドッグのろこんがこちらを見て手を振っていた。
すぐにお礼を言いたい。急いで駆けつけると、パパさんから予想だにしない言葉をいただいたのだ。
「大きくなったなぁ!」
そしてパパさんは続ける。
「どうしても直接言いたくてさぁ、こんなだけど(車椅子だけど)来ちゃったよ」
その横でママさんが微笑んでいる。
“ブース空っぽ時代”から知ってくださっている、ろこんファミリーならではの言葉。
色んな感情が入り混じり言葉にならず、涙をこらえるのに必死だった。
(正確には、目は涙でパンパンだった)
みんなで握手をしてろこんと遊び、束の間隣に座ってステージを見る。
そしてこの時、心の中で「ずっとこのイベントを続けたい」と誓ったのだった。

フレンチブルドッグ・ろこんの旅立ち
ろこんは、我が家の先代犬(フレンチブルドッグ)と同い年だった。
2009年生まれの丑年。そのご縁もあって、SNSではよく情報交換もしていた。
そして我が家の愛犬が2021年に旅立ち、ろこんは2024年に旅立った。
これはフレブルオーナーの特徴でもあるけれど、うちの子以外のフレンチブルドッグも、みんな家族のように思っている。
友だちの愛犬が旅立ったらお葬式に行ったり、お花を贈りあったり、空を見上げたりする。
ましてやろこんのことは、イケイケのやんちゃ時代から知っている。
私たち家族も、まるで自分の愛犬が旅立ったかのように悲しんだのだった。
「フレブルがいないけれど、イベントに参加してもいいですか?」
ろこんが亡くなったわずか数ヶ月後に、三回目の「フレブルLIVE(2024年)」があった。
ろこんファミリーはチケットを購入してくださっていたが、「行こうかどうか悩んでいる」と連絡をいただいていた。
愛犬が旅立った経験をしている身として、その気持ちはとてもよくわかる。
毎年ろこんと参加した場所、たくさんのフレンチブルドッグ。あの時の匂いや空気。
それは笑顔にもさせてくれるし、悲しくさせることもある。
その比率は人それぞれで、きっとその場に行ってみないとわからない。
私は参加してほしいとも、しなくて大丈夫とも言わず、ご家族が決めたこたえに全力で寄り添うことにしたのだった。
そして、イベントの直前。
「ろこんはいないけれど、フレンチブルドッグはいないけれど、フレブルLIVEに参加していいですか?」
とママさんから連絡をいただいた。
フレブルLIVEは、フレンチブルドッグを愛する人なら、誰でも参加できる場所。
その旨を伝えると、ママさんは「ありがとう。小さなろこんを連れて参加させてもらいます」と返事をくれた。
そして第三回「フレブルLIVE」は、フェルトで作った小さなろこんに会うことができたのだ。

顔を合わせるなり号泣するママさん。お互いたくさん「ありがとう」を言い合った。
そして今このご家族は、ろこんの命日に生まれた運命の子、フレンチブルドッグの「三代目(通称さんちゃん)」と暮らしている。
まだ三代目(さんちゃん)には会えていないけれど、どんな子かな。話しを聞く限り、ろこんに似ているのかな。

こうやって、人生の楽しみが増えていくのだろう。
フレンチブルドッグを通して大切な人々に出会うことが、今では自分の生きがいになっている。
なんて、最後はちょっと大袈裟に終えちゃったりして。
ろこん&三代目ファミリー、また笑顔で会いましょうね。
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