やっと、やーっと長かった今年の夏が終わりましたね。なんて書いている今は10月で、雨のせいか久しぶりに肌寒さを感じましたが、いまだTシャツ1枚でフラフラしている筆者です。
年々夏は暑く、秋は短くなり、気付けばTシャツからフリース、みたいな極端な衣替えが必要な国になったんだな、日本は。などと思っておりますが、暑さに激弱のフレンチブルドッグと暮らしていると、夏というのは意外にも思い出が増える季節のように感じます。
早朝眠い目をこすりながら散歩に出て並んで蝉の鳴き声を聞いたり、涼を求めて涼しい場所を探し遊びに行ったりと、暑さという大敵をうまくかわしつつ、それなりに夏を楽しんでいるのだと。
それに、暑すぎて外に出る機会が減るから自宅で愛ブヒと一緒に過ごす時間が増え、何をするわけではなくとも、同じタオルケットにもぐって昼寝なんかをしているだけで心が満たされる。
いつの日か振り返った時に、こうして何気なく過ごした時間さえ、大切な思い出のひとつになるのでしょう。
そんなふうに巡り来る夏を愛ブヒと過ごしていた筆者でしたが、去年の夏は全く思い出がありません。
それは先代が旅立って初めて迎える夏であり、現在の愛ブヒを迎える以前の、フレブル不在の夏だったから。
散歩で外に出ることもなく、仕事も在宅が大半なのでずっと家にいたからか、その年だけは日焼けもせず、自分の腕を見て「私ってこんなに腕白かったっけ?」と思ったことだけを強烈に覚えています。
なにせフレブルと暮らしていると一年中散歩やお出かけで外に出ることが少なくないため、長らく筆者の腕はこんがりと焼けていましたから。

あの夏、私は一体何してたんだろ。
ぼんやりと思い出そうとしても、頭に浮かぶのは時間があればただひたすらにゲームをしていた記憶だけでした。
先代が旅立ってから暮らしの中に空白の時間が増えたことを痛感し、それを埋めるべく購入したゲーム機。
島を開拓して動物たちを住まわせたり、頭に花を咲かせた小さな妖精たちを連れて冒険に出かけたり、赤い帽子を被った配管工と難易度が高いステージにひたすら挑んだ夏。
……そら日焼けもせえへんわ。
そうしてゲームの中ではさまざまな冒険をして敵を倒し、灌漑工事までして思い出を作ったはずの私ですが、当然それがリアルの思い出になるわけでもなく、2024年の夏は私にとってなんの感慨もない、思い出ゼロの夏となったのです。
そんなふうだったので、その年の夏が長かったのか短かったのかすら思い出すことができません。
ただ、暑さが和らいだ9月の終盤に、現在の相棒となるフレブル、楽太郎を高知県まで迎えに行ったのです。
再び始まったフレンチブルドッグとの日々。それはまるで、止まっていた時計がもう一度動き出したかのようでした。
わちゃわちゃと駆け回るヤンチャなパピーは一瞬たりとも目を離すことができず、ワクチンやお散歩デビューなど、毎日が予定でいっぱい。
なにより、お世話を必要とする存在がいるという事実は現実のなかにあってより一層現実味があり、いつしかゲーム機は埃を被るようになりました。
ゲームの中の世界はとてもカラフルだったけれど、フレブルがいないあの夏、私の世界は白黒映画みたいだったのかもしれません。
というのも、再びフレブルがやってきてから、また日常に彩りが戻ったように感じるから。
あれから1年。今年も夏が去りました。
ただ、今年の夏はすみずみまでカラフルな思い出にあふれていて、私の腕も一瞬でも白かったのが嘘のように焦げています。
私の世界に再び色を持ち込んだまあるい存在は今膝の上でだらしなく寝ておりますが、これからまた何度も巡る夏を、暑いなあ、しんどいなあ、なんて言いながら、一緒に思い出を重ねていきたいと思います。
渦中にいるときはすごく長く感じたけれど、終わってみれば夏はあっという間。
すぐにクリスマスが来て、年が変わって、また桜が咲くのでしょう。
そんな変わりゆく景色と季節をフレブルと過ごせるのは、とても大きな幸せです。
だから現在フレブルと一緒に人生を歩んでいる人は、日々の一瞬一瞬を心に刻んでいてください。
それはいつか、かけがえのない宝石のような思い出になるんだから。