REAL LIFE

食べなくなっても諦めない—愛犬エレブ、16歳への道

我が家には、2頭のフレンチブルドッグがいる。
そのひとり「エレブ」は、2025年の終わりに16歳を迎える。

16歳——。
フレンチブルドッグにとって、それは奇跡のような年齢だ。

13歳を超えてからの毎日は、険しい道のりの連続だった。

食べても食べても体重が減っていく。
下痢が止まらず、ぐったりして水さえ飲まない日もあった。

そのたびに「もうだめかもしれない」と覚悟した。
でも不思議なことに、何度も立ち上がり、私たちのもとへ戻ってきてくれる。

現在、15歳8ヶ月。
「まだ一緒にいるよ」とでも言うように、今も生き抜いてくれている。

この記事では、エレブと共に歩んだ“リアルな記録”を残しておきたい。

体重を増やすためにしたこと、何も食べなくなったときの対応。
そのひとつひとつが、未来の誰かのフレンチブルドッグを救うヒントになればと願っている。

13歳:原因不明の「体重減少」との闘い

エレブ、13歳の頃。ぐったりすることが多かった

病気知らずで元気いっぱいだったエレブ。
だが、13歳を迎えた2023年、突然の異変が訪れた。

食欲はあるのに、痩せていく。
どれだけ食べても、体重が減り続けるのだ。

下痢はひどく、どんなフードを試しても改善しない。
被毛は抜け落ち、下半身はまるで”裸”のようにスカスカになってしまった。

下半身の被毛が抜けていた。この後、背中も抜け始める

何件も病院をまわり、精密検査を繰り返しても「異常なし」。

どの先生も同じ言葉を告げる。
「老化によるものでしょうね」

でも、私は納得できなかった。
——これは、ただの老化じゃない。

16年間そばにいて、誰よりもエレブを知っているからこそ、直感でそう感じていた。

そこで私たち家族は決めたのだった。
「体重増加ミッション」を発動する、と。

ミッション①:便を安定させよ

まず立ちはだかったのは「下痢」。
栄養を吸収できないまま、体重だけが減っていく。

そんなとき思い出したのが、ある獣医師の言葉だった。
「下痢の子には、オオバコがいいんですよ」

すぐに試そうと思ったその瞬間、奇跡が起きた。

なんと我が家の棚に、オオバコ属のサプリ「サイリウム」が眠っていたのだ。

飼い主である私が便秘予防に飲んでいたものだった。

半信半疑で、フードに混ぜて与えてみる。

すると、翌日には掴めるくらいの硬さに。
三日後には「見事なうんち」と呼べるほどに安定した。

あまりに劇的で、思わず「やったー!」と声が出る。

こうして、体重減少はストップ。
最初の壁を、家族みんなで乗り越えたのだった。

ミッション②:体重を増やせ!

便が安定したら、次は「増量」だ。

当時13歳だったエレブは、かつて12kgあった体重が7kg台まで落ちていた。

選んだのはハイカロリーの缶詰フードとカロリーアップのサプリ。

アニウェル ハイカロリー(デビフ)


エナジー500(森永サンワールド)

これらを、フレンチブルドッグ専用フード「THE fu-do(ザ・フード)」にトッピングする。

さらに便を安定させるため、サイリウム(サプリ)も欠かさず混ぜた。

結果は見事だった。
1ヶ月で1kgずつ増え、4ヶ月後には8.7kgに。

「戻ってきた…」
そう感じた瞬間、涙がにじんだ。

ただ少し重そうに見えたので、最終的には8.3〜8.5kgをキープ。


毛並みも落ち着き、顔つきまで若返ったように見えた。

——ミッションコンプリート、である。

14歳:一年前より元気に

14歳を迎えたエレブは、むしろ13歳のころより元気になっていた。

散歩でもよく歩き、目に力が宿っている。

調子をみながらトッピングを少しずつ減らし、最終的には「THE fu-do(ザ・フード)」と「サイリウム」だけに。

しっかり栄養が届いているからか、それでも体重は安定していた。

「シニア犬って、年齢を重ねるたびに衰えるだけじゃないんだ」

新しい発見をくれた一年だったように思う。

そして、比較的穏やかで安定して過ごせた14歳だった。

15歳:好きなものを、好きなだけ

最近のエレブ。寝起きでポワポワ中

15歳を迎えたエレブ。

抜け落ちていた被毛がふわふわに戻り、家族から「こぐまちゃん」と呼ばれるほどになっていた。

まさかシニア期に入って毛並みが復活するとは…想像もしなかった。

きっと、エレブの体にフィットするフードに出会えたからだろう。

ここまで食事の大切さを身にしみたことはない。

けれどフレンチブルドッグの一年は、とてつもなく長い。

昨日まで元気だったのに、翌日はぐったり。

ごはんも水も口にせず、病院で点滴を受ける日もあった。

そして私は覚えていた…。

先代のフレンチブルドッグ・ジュブが旅立つとき、同じように「食べない」というサインを出したことを。

それは“お空へ向かう合図”だということを。

ジュブの闘病期から、家族で決めていたことがある。

もし愛ブヒたちがそう選んだのなら、その意思を尊重しよう。

病院へ連れて行くのではなく、静かに見守ろうと。

——ところが。
ある日、毎食用意だけはしていたフードを突然バクバクと食べ始めたのだ。

「えっ!?」

思考が止まり、次の瞬間、飛び上がるほど喜んだ。

それから数ヶ月、エレブは再び食欲を取り戻し、水もよく飲んだ。

もう、わからない(笑)。

でもそれこそがフレンチブルドッグとの暮らし。
驚きと奇跡の連続なのだ。

介護期の今:ごはんを毎食準備する意味

現在、15歳8ヶ月。
エレブはドッグフードを一切食べなくなり、体重は6kg前半に。

それでも私は、ごはんの準備をやめない。

お皿を出し、フードを計り、サイリウムを混ぜる。

食べないとわかっていても、それは家族の日課になっている。

なぜなら、食べるかどうかを決めるのはエレブだからだ。

「今日はどうだい?」と問いかけ、彼の気持ちに任せる。

顔を背ける日もあれば、突然ガツガツ食べる日もあると信じて。

その小さなやり取りが、家族にとってかけがえのない時間になっている。

人間の食べものでもいい。「好き」を探す旅

そして、介護をする上で気づいたことがある。

——ドッグフードを食べなくなったからといって、それは“終わり”ではない、ということ。

私たちはこれまで「犬にはあれもダメ、これもダメ。人間の食べものなんて絶対NG」と教えられてきた。

そして私自身も、ずっとそれを徹底してきた。

でもエレブがドッグフードを食べなくなったとき、ふと違和感があった。

「お腹は空いてるっぽいぞ…?」

そこで試しに、私が食べていたパンを差し出してみると——

なんと、信じられない勢いで食べ始めたのだ。

「やっぱりな」

嬉しさと安堵が同時にこみ上げてきた。

それからはヨーグルト、蒸しパン、フルーツなど、“人間の食べもの”を少しずつ試してみた。

もちろん、犬にとって有害なものは除いて。

面白いのは、その日の気分で“食べる・食べない”がはっきり分かれること。

オイコスのヨーグルトは、プレーンはプイッとするけど、いちごは完食。ブルーベリーはまぁまぁ。

今では、エレブ専用の「ビュッフェ」を用意するのが日課だ。

その時の気分で選び、鼻と舌が承認したものだけを食べる。

わがままだけど、そのわがままを叶えることこそが、いまの私たちの喜びなのだ。

介護期は、ご褒美タイム

ここまで来たら、もう介護というよりご褒美タイムだ。

好きなものを、好きなだけ。食べたいときに、食べたいものを。

「人間はこんなに美味しいものを食べてたのか!」と恨まれるくらい、

最後の時間を自由に楽しんでほしい。

わがままに振り回されることもある。

でもそのすべてが、私たち家族にとって宝物だ。

だから今日も、ごはんを準備する。

「今日はどう?」「これならどう?」と声をかける。

その小さなやり取りこそが、最高のご褒美だから。

おわりに

エレブの16年近い道のりは、奇跡と挑戦の連続だった。

食べなくなるたびに「もうだめだ」と思い、食べた瞬間に「まだいける」と喜ぶ。

その繰り返しだ。

フレンチブルドッグと暮らすということは、

“命と毎日向き合うこと”そのものだと思う。

この記録が、どこかの誰かと、その大切なフレンチブルドッグを救うきっかけになれば幸いだ。

そして、同じように「毎日ごはんを準備している」オーナーさんへ。

どうかその一日一日が、ご褒美のように愛おしい時間になりますように。

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フレンチブルドッグ歴16年。 1万頭以上のフレブルに出会ってきたのが自慢。 Instagram:@chica.y

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