我が家の初代フレンチブルドッグ・ジュブは、2021年に脳腫瘍で旅立った。
それ以来フレンチブルドッグと脳腫瘍の関係を調べ、Webメディア「フレブルライフ」でもたくさん記事を書いてきた。
世界的にも名のある神経科専門医をインタビューさせて頂いたこともある。
さらに同じ病気と闘うフレンチブルドッグたちにも出会うなかで、脳腫瘍には「共通する初期症状」があることがわかってきた。
当時の愛犬の動画を踏まえて、ご紹介しようと思う。
ただしあくまでも、いち飼い主としての意見。
ひとりのフレブルオーナーの経験に基づく見解として、そっと頭の片隅に置いていただけると嬉しい。
発作でMRI検査を受けたフレブルの「約70%」が脳腫瘍と診断

まず、フレンチブルドッグがいかに脳腫瘍になりやすい犬種かをお伝えしておこう。
MRI・CT検査を実施する動物検診センター・キャミックのデータによれば、てんかん発作を主訴にMRI検査を受けたフレンチブルドッグの「68.3%」が脳腫瘍だった、という結果が出ている。
これはトイプードルやチワワといった人気犬種に比べて、約4倍の割合だ。


(出典:動物検診センター キャミック)
これだけでも、フレンチブルドッグがいかに脳腫瘍になりやすい犬種かがわかるだろう。
脳腫瘍は遺伝的要因が大きく「予防」は難しい
以前取材した神経科専門医・H先生によると、フレンチブルドッグが脳腫瘍を患いやすいのは、遺伝的要因が大きいという。
つまり脳腫瘍は「予防が難しい病気」ということになる。
この事実はネガティブに聞こえるかもしれない。
けれど、もし愛犬が脳腫瘍を患ったとしても、それは飼い主の責任ではない。
どうか自分を責めないでほしい。
私自身も愛犬が脳腫瘍になったとき、「何が悪かったのだろう」と悩み、自分を責めた時期があった。
だからこそ「予防できない病気だ」と知ったとき、悲しさの中に安堵が込み上げ、少しだけ心が落ち着いたことを今でも覚えている。
最も大事なのは「発作を起こさせない」こと

脳腫瘍の症状のひとつに、「てんかん発作」がある。
軽度では顔がピクッとしたり、手足の一部が動かなくなる。
重度になると全身をバタバタしながら痙攣(けいれん)し、失禁・脱糞を伴うことも。
愛犬・ジュブが脳腫瘍になったとき、論文や書籍を読んだり、5名以上の獣医師さんにいろいろお話しをうかがった。
その中で必ず言われたのが「発作を起こさせないことが大事」ということだ。
たとえ軽度の発作でも、連続することで脳の細胞が壊れていくこと。
とくに重い発作(重積発作)は、脳へのダメージが大きいため、命に関わること。
てんかん発作の薬(抗てんかん薬)は種類が豊富で、その組み合わせも含めると、とてつもないパターン数になること。
「一日も早く、この子に合った薬の種類と組み合わせを見つけましょう」
脳の病気に詳しい先生ほど、このアドバイスは共通していた。
【今思えば】フレブルの脳腫瘍”初期症状”。元気なのに足がふらつく

前置きが長くなったが、ここで本題に入ろう。
脳腫瘍は「発作を抑えることが先決」であるため、早期発見がとても大切だと思っている。
脳腫瘍の疑いで病院へ行くきっかけのほとんどが、初めての「発作」だ。
できれば発作が起きる前に早期発見できるのがベスト。
発作が起きる前に、前兆のようなものはなかったのだろうか…
ジュブのケースや、同じ病気と闘ってきたフレンチブルドッグの姿を思い出し、
「今思えば、これが脳腫瘍の初期症状だったのかも」と思い当たるものがある。
それは『元気なのに、足がフラつく』という症状だ。
▼実際の動画がこちら。左(パイド※白黒)がジュブ。
これはジュブだけでなく、同じ病気と闘ってきたフレンチブルドッグも同じ症状が見受けられたように思う。
フレブルは足腰の病気だと勘違いしやすい(自分がそうだった)
反省しているひとつが「足元のフラつき=足腰が悪い」と思い込んでいたこと。
元々フレンチブルドッグは足腰が弱く、ヘルニアにもなりやすい。
それにフレンチブルドッグの場合、生まれつき骨が歪んでいる子が多いため、レントゲンを撮っても「骨が歪んでいますね。それによる影響でしょう」と言われることも多いのだ。
ジュブもご多分に漏れず、レントゲンで骨が歪んでおり、「それによるもの」だと診断された。
もちろん私たち夫婦は疑いもせず、投薬や鍼治療をし、できることを片っ端から試していった。
けれど…症状は良くなるどころか、ますますフラつきが多くなっていった。
その1ヶ月後に、初めて発作が起きる
「どうしたものか…」と悩むことがつづいたある日。
急にベッドからバタンッと何かが落ちる音がし、飛び起きると、床でジュブが発作を起こしていた。
気持ちを落ち着かせ、診断材料になるよう動画を撮影し、すぐに病院へ。
こうなってしまうと薬で発作を抑えることしかできず、「彼に合う薬に出会う旅」が始まったのだった。
経験した今、自分ならどうするか。

ところがジュブにはなかなか合う薬が見つからず、発作を抑えることができなかった。
そして、初めて発作を起こしてから3ヶ月後に旅立ったのだったーー。
彼が与えてくれた経験は、必ず誰かの役に立つはずだ。
そう信じて論文を読みあさり、ジュブが旅立ってからも「他のフレンチブルドッグのために」と脳腫瘍に関する取材を重ねた。
当時より少しだけ知識がついた今、もしも愛犬が脳腫瘍を患ったらどうするか。
「早期発見」「発作をおさえる」ことを優先的に考え、いちフレブルオーナーとしての考えを記しておこうと思う。

①お散歩で足がフラついたらMRI検査を受ける
元気なのに足元がフラついている症状が見られたら、脳腫瘍を疑う。
早期発見に向けて、MRI検査を受けにいく。
※MRIについては麻酔を伴うので、その病院と担当医が「短頭種の麻酔に慣れているか」を事前に確認しておく。
具体的には、短頭種の麻酔実績(おおよその件数)を聞いてみると安心。
②脳腫瘍だと発覚したら、その場で薬を処方してもらう
MRIで脳腫瘍と発覚したら、発作をおさえる薬(抗てんかん薬)をもらっておく。
その時、以下を担当医にヒアリングする。
- 発作が起きる前に薬を飲ませても良いのか
- あるいは、初めて発作が起きた時に飲ませるべきか
- その時の容量は
- 「その薬が効いているか」どのようにジャッジすべきか
- その薬が効かなかった場合、どんな薬の組み合わせが考えられるか
③脳に詳しい神経科専門医を探す
経験談として、脳腫瘍に限らず重い病気については「専門医」に診てもらうべきだと断言できる。
「その病気について学び続けている先生」の方が、知識が豊富なのは当然だからだ。
これは5件以上動物病院をまわり、専門医にもインタビューをしたことで確信を得ている。
できれば通える距離内で脳に詳しい神経専門医を探し、すぐに予約を取るようにする。
※専門医は予約が取りにくいため、できるだけ早めに連絡をした方が良い
(1ヶ月、2ヶ月先になることも多い)
若くて体力があれば、放射線治療も視野に入れる
脳腫瘍の治療のひとつに、放射線治療がある。
軽い麻酔と絶食が伴い、その回数も多いため、年齢が若く「闘うパワー」があれば検討するかもしれない。
放射線治療を受けたからといって必ずしも予後が良いとは限らないが、発作を防ぐことは期待できるからだ。
しかしこればかりは、「その時」が来ないとわからない。
その時の愛犬の状態、自分たちのライフスタイル。総合的な判断が必要になりそうだ。
家族が選んだ治療法は、すべて「正解」である

脳腫瘍でジュブを亡くしたとき、もちろん後悔もあった。
「もっと早く気づいていれば」
「もっと自分に知識があれば」
「もっと早く、あの先生に出会っていれば」
「もっと」を考えればキリがない。
そんなときに心を救ってくれたのが、病気と闘うフレブルオーナーさんたちだった。
いろんな病気を患う子がいて、どのご家族も悲しみを堪えていっしょに闘っている。
選んだ治療法は人それぞれ。
明るい未来を想像しながら、目の前の現実を受け入れて、必死に闘うご家族の姿。
何度も悩み、たどり着いた治療法が、間違っているはずがない。
「家族が出した答えは、全部正解なんだよ」
そんなふうに言ってくれている気がした。
だから、今病気と闘う人も、愛犬が旅立ってしまった人も。
絶対に自分を責めないでほしい。
フレンチブルドッグはあんなに個性的で、誰ひとり同じ子なんていない。
だから同じ病気を抱えていても、まったく異なる症状が出ることもある。
愛犬を一番よく知っているのは、そのご家族。
「うちの子のために選んだ治療」は、誰がなんと言おうと正解なのです。
おわりに
今回お伝えしたのは、いち飼い主としての意見です。
私には医学的な専門知識がありませんので、あくまでも一つの意見として捉えていただければ幸いです。
そしてこれからもフレンチブルドッグのために、実体験や取材を通して得た情報をお伝えしていこうと思います。
それが、自分にとっての幸せですから。
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