ESSAY

愛犬・楽太郎に学ぶ、フレブルと犬社会の力学ーヨコタアイコ

フレブルはフレンドリーな犬種として認知されていますが、皆様の愛ブヒにお友達はいますか?

我が家の楽太郎には特に仲の良いお友達(もちろん犬)がふたりいます。

ひとりはフレンチブルドッグの女の子で、先代ブヒとも仲が良かったお姉さんブヒ。

そしてもうひとりは、イングリッシュコッカースパニエルの女の子で、楽太郎より半年ほど年下です。

このふたり(正式には2頭ですが、なんだかみんな人っぽいので笑)とは朝一緒に散歩に行くことが多く、それぞれが「朝はみんな集まるだろ?」とでも思っているのか、特別約束はしていなくとも、朝散歩に出るとおのおの「いつものトリオ」になるべく相手を探し始めます。

いつもの仲良しトリオ

なんとなく集まり、なんとなく一緒に歩き、時々ブヒレスなんかをして絡みつつ、いつものコースを三者三様に歩いたらおやつを食べてふわっと解散する。

これが楽太郎の朝の日課です。

こんなふわっとした日々の情景をなぜ記事にしようと思ったのか。

とお思いかもしれませんが、このお三方、なかなかにユニークで、そこには「犬の社会力学」が働いているように思うのです。

なお「犬の社会力学」なんて堅苦しい言葉を使いましたが、これは筆者が勝手に学術的な雰囲気を装って言ってるだけのもので、平たく言えば、“犬たちの間に自然にできあがる関係やルール”を、ちょっと社会学っぽく表現しただけなので悪しからず。

このトリオの紹介をすると、最年長は5歳ののんびりマイペースな女子ブヒで、その名はブゥちゃん。

楽太郎はまだパピーだったころ、一度ブゥちゃんのおっぱいを吸おうと右から左から相当しつこくブゥちゃんのお腹の辺りを覗き込み、「仕方なくだからね」と言わんばかりに吸わせてもらったことがあります(笑)。

マイペースな女子ブヒ、ブゥちゃん(左)

そして2番手の楽太郎は、5月に2歳になった男の子ブヒで、トリオの中では唯一のメンズ。とはいえ、一番のびびりで常にへっぴり腰。

そして最年少のイングリッシュコッカーの女の子はメイさんという名で、友人宅にやって来たその日に楽太郎と対面したせいか、楽太郎のことは兄貴だと思ってる1歳と半年の女の子です。

なお、可笑しいのがメイさんで、ひとりだけ犬種が違うにも関わらず、幼少期からフレブルふたりに挟まれて遊んでいたためか、何しろ遊び方が完全にフレブル…。

どーんと横っ腹にぶつかってブヒレスをするコッカー、初めて見ました(笑)こんな凸凹なトリオでの散歩、それが面白くないわけがありません。

笑顔までフレブルに見えてきた…!?(笑)

さて。散歩の布陣を見てみると、大体先頭は楽太郎。

「唯一の男子としてまずは先陣を切ってるのか。なんだか男らしいところあるじゃん」なんて思って見ていれば、前方に見慣れぬ何かがあったりすると、ピタッとその場に止まってグルーミングするふりをしながら誰かを先に行かせる姑息さよ。

いや、そこは強がるべき。そう思う筆者をスルーして、女の子たちの後方をトトトッと歩く我が子の背中の小ささたるや。

そんな感じで散歩が進んでいくのですが、もちろん途中でお水休憩なんかも挟むわけですよ。

不思議なのが、みんな自分のママさんが差し出す水よりも、よそのお家の水を飲みたがること。

なお、全員お散歩バッグに入っているのは大阪の水道水で、味は当然同じです。

「そろそろお水にしよか」という誰かの掛け声で一斉にみんな自分のママとは違う人のところへ集まり、よその子の水を飲む。

ここまではまあよくある光景なのですが、面白いのはその順番や反応で、例えば楽太郎が水を飲んでいる時にブゥちゃんが横からやってきたら、「ヤダヤダ、僕が飲んでるんだい!だめだよ、あげないよ」とばかりに、むきっとして地団駄を踏むんです(笑)。

なんてケチな男。母さんは恥ずかしい! などと思っていたら、楽太郎を押し退けてメイさんが水を横取りするんです。でも、なぜか怒らない。

きっと楽太郎のなかで、ブゥちゃんは少しならわがままも聞いてもらえる甘えてもいいお姉さん、メイさんに対してはボクが兄だからちょっぴり我慢しなきゃいけないっていう立ち位置がちゃんとあるんですよね。

大阪の水道水は、家族以外にもらうのが一番うまい

これって人間が教えたものではなく、犬同士で遊ぶうちに自然と身につけた社交術みたいなもの。

また、このトリオでの散歩中にはじめましての犬が前方からやってきた場合、そこは一応男子だからなのか、楽太郎が一歩前に出て背中の毛を逆立て威嚇態勢を取ろうとすることがしばしばあり、一応女の子たちを守ろうとするのだなと少しばかり感心したり。

(ただし相手が犬の場合に限る。犬以外、例えば風に飛ばされたビニール袋など、よくわからないものに対してはへっぴり腰の本領を発揮し、女子に先を譲ります笑)

そしてこのトリオには、もうひとつ妙な“習慣”があります。

それは、いわゆるおしっこの「上書き」。上書きするのはもっぱらブゥちゃんで、楽太郎やメイさんがシーッとしているのを後方から確認し、終わるや否や早速上書き。

といっても、それは縄張りを巡る主張という感じではなく、どういう意図の行動なんだろうとずっと気になっていたんです。

そこで「上書き」について調べてみれば、自分の匂いをつけることで、まるで名刺を渡すように自分の存在を主張する自己アピール以外にも、喧嘩や争いを避けるために他の犬の匂いの上に自分の匂いを重ね、それにより互いの存在を認め合い、平和的な関係を保つ。という驚きの理由がありました。

もしかしたらふたりの姉的存在のブゥちゃんは、このトリオの関係をより平和かつ円滑にしよとしているのかもしれない。

そんなことを思うとなんだか、側から見ればおしっこの上書きをしてるだけにも関わらず、もはや「尊さ」すら感じてしまうのでした。

こんな感じで三者三様にあちこちに寄り道しながら歩くのですが、散歩が終盤になるとさっきまでバラバラに歩いていたのに、いつの間にか同じ速度で、同じ間隔を保ちながら並んでいることに気づくのです。

誰が決めたわけでもないのに、また「いつものトリオ」の形に戻っていて、こうして並んで歩くのが当たり前だと言わんばかり。

言葉はなくとも、この”さんにん”のなかでは、誰が欠けてもいけない互いにとって大事な存在、みたいな意識があるのかもしれません。

その様子を見るにつけ、もしかしたら犬たちの方が、人間よりずっとコミュニケーション上手なのかもしれないなと。

明日の朝も、きっとまた彼らはふらっと合流し、いつもと同じ場所で足を止め、同じように少しだけ(シッコという形で)世界に痕跡を残していくのでしょう。

昨今人間の世界ではコミュニケーションの問題がよく話題にのぼりますが、愛犬たちの日常の様子から学べることって実はたくさんあるのではないか。

なんてことを、凸凹トリオを見るたびに思うのです。

  • 記事を書いたライター
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Aiko Yokota

大阪在住ライター。 フレブルをこよなく愛し、フレブルにふりまわされる女。きっと前世はフレブル、知らんけど。

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