REAL LIFE

フレンチブルドッグの寿命は本当に短いのか ─10年・数千頭の経験とデータから考える、長生きのためにできること

フレンチブルドッグの平均寿命は10〜12歳。悲しいことに、他の犬種より短いと言われています。

しかし「短命」と決めつけるのは早いかもしれません。

フレブルオーナーとして17年、そしてフレンチブルドッグに関わる仕事について10年。

今まで数千頭のフレブルと向き合ってきた経験と最新の研究データから、寿命を縮めてしまう原因と、長生きのために今日からできることを深く解説します。

目次

フレンチブルドッグの寿命について調べると、ほとんどのサイトにこう書いてあります。

「フレンチブルドッグの平均寿命は10〜12歳。他の犬種に比べると短命です」

たしかに、数字だけ見ればその通りです。

けれど17年間フレンチブルドッグと暮らし、この10年で数千頭のフレブルを見てきた中で思うのは、「短命」という言葉だけで語ってしまうのはあまりにもったいない、ということです。

15歳を超えるご長寿フレブルにも出会ってきましたし、反対に、もっと早くに旅立ってしまう子にも出会ってきました。

その差を分けるものは、何なのでしょうか。

この記事では、フレンチブルドッグの寿命にまつわるデータをしっかり押さえた上で、

「なぜ短命と言われるのか」

「寿命を縮める本当の原因は何か」

「私たち飼い主が、1日でも長く一緒にいるためにできることは何か」

これらを、研究論文と10年の現場経験を交えて深く掘り下げていきます。

まず、信頼できるデータで「本当の寿命」を確認しましょう。

フレンチブルドッグの平均寿命は、調査によって若干のばらつきがありますが、おおむね「10〜12歳」が目安とされています。

調査元 平均寿命
アニコム
「家庭どうぶつ白書2023」
11.2歳
英国ケネルクラブ
(2024年調査)
9.8歳
アメリカン・ケネルクラブ
(AKC)
10〜12歳

犬全体の平均寿命が 14.2歳(アニコム調べ)であることを考えると、フレンチブルドッグの寿命は全犬種平均より、約3年短い ことになります。

もう少し具体的にイメージするために、人気犬種と並べてみます。

犬種平均寿命体重の目安
トイプードル15.3歳3〜4kg
チワワ15.1歳1.5〜3kg
柴犬14.8歳8〜10kg
ミニチュア
ダックスフンド
14.5歳4〜5kg
パグ12.7歳6〜8kg
フレンチ
ブルドッグ
11.2歳9〜13kg
ブルドッグ8.6歳23〜25kg

こうして並べると、フレンチブルドッグは小型犬〜中型犬の中では確かに短い部類。

トイプードルやチワワの15歳超えと比べると、4年ほどの差があります。

しかし同じ短頭種であるパグやブルドッグ(イングリッシュ)と比べれば、決して「最も短命な犬種」というわけではありません。

「短命犬種」という表現は、少し極端かもしれないのです。

「フレンチブルドッグの最高齢は何歳か?」「ギネス記録はあるのか?」という質問もよく見かけます。

フレンチブルドッグの公式なギネス記録は公表されていませんが、私が10年間の現場で出会った最高齢は19歳10ヶ月。

名前はジェミニちゃん。もちろん日本在住で、過去にご家族を取材させていただいたこともあります。

SNSを通して世界中のフレンチブルドッグを見てきましたが、私が知る限りジェミニちゃんの19歳10ヶ月は、世界最高齢。

これは人間の年齢に換算すると約95歳に相当します。

もちろん極めて稀なケースではありますが、「ケアと環境次第で、フレンチブルドッグにも長寿のポテンシャルがある」ことを示す、とても心強いデータだと思います。

🐾 10年の現場から:
正直に言うと、15歳を超えるフレブルは多くはありません。けれど13歳・14歳のフレブルに会う機会は、以前より格段に多くなりました。
その子たちに共通しているのは、「太っていないこと」「飼い主さんが熱中症と呼吸に気を配っていること」「定期的に獣医師の健診を受けていること」の3つです。

フレンチブルドッグの寿命が他の犬種より短い理由は、ひとつではありません。

この犬種が生まれ持った「構造」と、それに伴う健康リスクが複合的に絡み合っていると考えられます。

ここでは、寿命に直結する5つの要因を、ひとつずつ掘り下げていきましょう。

フレンチブルドッグが「短命」と言われる最大の理由は、短頭種気道症候群(BOAS:Brachycephalic Obstructive Airway Syndrome) にあります。

あの愛らしいペチャっとした鼻。それは同時に、空気の通り道が極端に狭いことを意味しています。

鼻の穴(外鼻孔)が狭いため空気を十分に吸い込めず、喉の奥の軟口蓋(なんこうがい)が長いことで気道が塞がりやすい。

さらに気管そのものも他の犬種より細く、常に「呼吸がしづらい状態」で生きています。

睡眠時のいびきを「フレブルらしくてかわいい」と微笑むオーナーさんは多いですが、実は「呼吸が苦しい」サインであることも少なくありません。

特に、寝ているときに呼吸が止まる瞬間がある場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。犬にも「睡眠時無呼吸」は起こります。

📊 研究データ:
2022年に発表された英国の大規模研究(O’Neill et al.)では、フレンチブルドッグは全犬種の中で最も「短頭種気道症候群の発症率が高い犬種のひとつ」と報告されています。
この調査では、フレンチブルドッグの約半数以上が何らかの呼吸器症状を抱えていると示されました。

犬は人間のように全身で汗をかくことができません。

体温を下げる手段は、主にパンティング(ハアハアと口で呼吸すること)に頼っています。

しかしフレンチブルドッグは、短頭種気道症候群(BOAS)によって呼吸効率が悪いため、パンティングによる体温調節がとても苦手。

暑い日や蒸し暑い環境に置かれると、他の犬種よりも圧倒的に早く体温が上昇し、熱中症になるリスクが跳ね上がります。

しかも怖いのは、「人間には涼しいと感じる気温」でもフレンチブルドッグにとっては危険な暑さになりえるということ。

気温が25℃を超えたら、フレブルにとってはもう「真夏」です。

📊 研究データ:
英国の調査(Hall et al., 2020)では、フレンチブルドッグは「熱中症による死亡リスクが全犬種の中で最も高い犬種のひとつ」であることが報告されています。
夏場だけでなく、春先や秋口にも注意が必要であることが、このデータからも読み取れます。

🐾 10年の現場から:
「5月に散歩に行って、帰ってきたらぐったりしていた」という相談は、毎年のように受けます。散歩は早朝か夜に限定し、日中は室内のエアコンが必須。
これはフレブルと暮らす上での大前提です。

フレンチブルドッグは、椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種でもあります。

背中の骨と骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出して神経を圧迫し、強い痛みを引き起こすのです。

ひどい場合には後ろ足に麻痺が残ることもあり、突然歩けなくなるケースも報告されています。

フレンチブルドッグ特有のスクリューテール(くるんと巻いた尻尾)は、背骨の変形と関連があります。

この構造的な弱さに加え、階段の上り下りやソファへの飛び乗りといった日常の動作が、背骨に想像以上の負担をかけています。

発症のピークは3〜7歳とされていますが、シニア期に悪化するケースも少なくありません。

若いうちから「背骨に負担をかけない生活設計」を意識することが大切です。

📊 研究データ:
椎間板ヘルニアのリスクが高い犬種として、ダックスフンドに次いでフレンチブルドッグが挙げられることが複数の獣医学文献で示されています。
特に、胸腰椎(背中の真ん中あたり)のヘルニアが多いとされています。

以前、涙やけの記事でも触れましたが、フレンチブルドッグは 皮膚のバリア機能が生まれつき弱い犬種です。

アトピー性皮膚炎の罹患率は全犬種でトップクラスで、犬種全体の15〜20%に影響しているとされています。

食物アレルギーも発症しやすく、顔のシワに湿気がこもることで細菌や酵母が繁殖しやすい体質を持っています。

耳の中が狭いことから外耳炎を繰り返す子も多いです。

これらの皮膚疾患は、直接的に寿命を縮めるものではありません。

しかし、慢性的な痒みや痛みは犬のQOL(生活の質)を大きく低下させてしまいます。

そのストレスが長期的に免疫や内臓に影響を及ぼすことは、人間の慢性疾患と同じ構造。

「たかが皮膚の問題」と軽視せず、根本的なケアに取り組むことが、結果的に長生きにつながります。

フレンチブルドッグの死因として見逃せないのが 腫瘍(がん)です。

アニコムの調査では、フレンチブルドッグの死亡原因として腫瘍が上位に入っており、特に高齢期(8歳以降)に発見されるケースが増加します。

肥満細胞腫やリンパ腫など、犬種を問わず発症するがんが中心ですが、シニア期に入ったら定期的な健診で「早期発見」を狙う姿勢がいっそう重要になります。

フレンチブルドッグと暮らす飼い主さんの間で、ここ数年で広まった言葉があります。

それが「10歳の壁」と「フェアリー期」です。

フレンチブルドッグにとっての10歳は、人間で言えばおよそ 56〜60歳 に相当します。

多くのフレブルがこの年齢前後で、目に見える体の変化を経験します。

散歩の途中で立ち止まることが増え、階段を嫌がるようになり、口の周りや目の周りに白髪が目立ってくる。

寝ている時間が長くなり、呼吸が以前より荒くなったと感じるオーナーさんも少なくありません。

フレンチブルドッグの平均寿命が11歳前後であることを考えると、10歳を超えるということは「平均寿命に手が届く年齢」に達したことを意味します。

だからこそ飼い主さんたちは、この年齢を「10歳の壁」と呼ぶようになったのです。

10歳の壁を越えたフレンチブルドッグは、飼い主さんたちの間で 「フェアリー(妖精)」と呼ばれます。

まるで妖精のように、いつこの世界からふわっと旅立ってもおかしくない。だからこそ、一日一日がとても尊い。

「フェアリー期」という言葉には、「この子がここまで元気でいてくれることへの感謝」と「いつか来るお別れへの覚悟」が、同時に込められています。

🐾 10年の現場から:
「うちの子がフェアリーになりました」と嬉しそうに報告してくれるオーナーさんに会うと、こちらまで温かい気持ちになります。
フェアリー期のフレブルは、若い頃のやんちゃさが落ち着いて、穏やかで、どこか達観したような表情を見せることがあります。
その表情が、本当にたまらなく愛おしいのです。

愛犬が今、人間で言えば何歳くらいなのか。目安を表にまとめました。

フレブルの年齢人間の年齢換算(目安)ライフステージ
1歳約15歳子犬〜青年期
2歳約24歳成犬
3歳約28歳成犬
5歳約36歳壮年期
7歳約44歳シニア入口
8歳約48歳シニア期
10歳約56歳10歳の壁
12歳約64歳フェアリー期
14歳約72歳フェアリー期
16歳〜約80歳〜フェアリー期

※ 中型犬の換算式を基に算出。個体差があります。

フレンチブルドッグの寿命について語るとき、避けて通れないのが 「突然死」 の問題です。

検索でも「フレンチブルドッグ 突然死 前兆」は非常に多く調べられているキーワードであり、それだけ多くの飼い主さんが不安を抱えていることの表れです。

突然死のリスクは、第2章で解説した「構造的な弱さ」と密接につながっています。

最も多いのは、短頭種気道症候群(BOAS)による呼吸不全です。

睡眠中や興奮時に気道が完全に塞がり、酸素が供給できなくなるケースがあります。

また、熱中症が急激に悪化して短時間で体温が41℃以上に達し、多臓器不全を起こすケースも報告されています。

さらに見落とされがちなのが、心臓への慢性的な負担。

毎日の呼吸が「少し苦しい」状態が何年も続くと、心臓に大きなストレスがかかり続けます。

これが心不全のリスクを高め、ある日突然、心臓が耐えきれなくなることが起こりえるのです。

そのほか、てんかん重積発作がきっかけで命を落とすケースも、少数ながら報告されています。

突然死は文字通り「突然」起きるものですが、振り返ると「あのときのサインに気づいていれば」ということがあります。

以下のサインに注意してください:

サイン考えられるリスク
・いびきが急にひどくなった、音が変わったBOASの悪化、
気道の閉塞
・興奮したあとに倒れる、ぐったりする酸素不足、
心臓への負担
・寝ているときに、呼吸が止まる瞬間がある睡眠時無呼吸
(犬にも起こる)
・舌や歯茎の色が紫っぽい(チアノーゼ)血中酸素の低下。
緊急サイン
・少しの運動で息が上がる、座り込む心肺機能の低下
・食欲が急に落ちた、水を飲まない体内の異変
(内臓疾患の可能性)
・嘔吐を繰り返す、お腹が膨れている胃拡張
胃捻転(緊急)

これらのサインが一つでも当てはまる場合は、様子を見ずに、できるだけ早く動物病院を受診してください。

10年間フレンチブルドッグの現場にいた中で、突然旅立った子にもたくさん会ってきました。

「昨日までは元気だったのに」

「さっきまでご飯をモリモリ食べていたのに」

…大切な家族が突然死する悲しさは、想像に容易くありません。

ここでひとつ、大切なことをお伝えします。

突然死してしまったフレンチブルドッグを辿ると、実は「同じブリーダー」だったケースが少なくありません。

心臓疾患は遺伝性も高く、血統に心疾患を抱えている子がいると知りながらブリーディングをつづけている…こう考えると辻褄が合うことがよくあります。

新たにフレンチブルドッグを迎えるときは、親犬に会わせてもらうだけでなく、同じ血筋の「病歴」も必ず確認しましょう。

この積み重ねもまた、フレブルたちの突然死を防ぎ、寿命を延ばすことにつながると信じています。

フレンチブルドッグの一生を4つのステージに分けて、それぞれの時期に起きやすい変化と、飼い主として意識すべきポイントを整理します。

骨格と筋肉の成長が急速に進むこの時期は、フードの栄養バランスが特に重要です。

同時にワクチン接種と社会化を適切に行う大切な時期でもあります。

見落とされがちですが、鼻の穴の狭さ(鼻腔狭窄)がすでに気になる場合は、若いうちから獣医師に相談しておくことをおすすめします。

成犬になってから手術するよりも、早い段階で判断したほうが体への負担が軽いケースがあるからです。

もし手術をする際は、動物病院や担当医に「短頭種の麻酔実績(件数など)」などをヒアリングすると良いでしょ

フレンチブルドッグは麻酔リスクを抱える犬種ですから、実績が多く短頭種の麻酔に慣れた病院や獣医師だと安心です。

そしてこの時期から最も意識してほしいのが、太らせすぎないこと。

パピー期の肥満は、成犬になってからの肥満リスクを大幅に高めることがわかっています。

「子犬だから少し丸いくらいがかわいい」という気持ちはわかりますが、将来の健康はここで決まると言っても過言ではありません。

またパピーのうちから「呼吸の音」を観察する習慣をつけましょう。

正常な呼吸音を知っていると、異常に早く気づくことができます。

最も活動的で元気な時期です。しかし油断してはいけません。

この時期のケアが、10歳以降の健康を大きく左右します。

最重要テーマは体重管理。

フレンチブルドッグの理想体重は9〜13kgが目安ですが、骨格による個体差が大きいため、愛犬にとっての適正体重を獣医師に確認してもらうことが大切です。

「ちょっと太ったかな」と感じたときには、すでに1kg以上増えていることがよくあります。

体重計に定期的に乗せる習慣をつけましょう。

また、食物アレルギーが出始める子が多いのもこの時期です。

同じフードを何年も与え続けることで蓄積型のアレルギーが発症するリスクがあるため、フードのローテーションを意識することが予防につながります。

※詳しくは「涙やけの記事」で解説しています

年1回の健康診断を習慣にすることも、この時期から始めてほしいことのひとつ。

そして、3〜7歳は椎間板ヘルニアの好発年齢。激しいジャンプや階段の上り下りには特に注意しましょう。

フレンチブルドッグは7〜8歳頃から老犬(シニア犬)の仲間入りをします。

散歩のペースが落ちる、疲れやすくなる、白内障や核硬化症で目が白く濁ってくる──。

こうした加齢サインが少しずつ現れ始めます。

基礎代謝が下がるため、成犬期と同じ量を食べていても太りやすくなります。

また早い子では食べても体重が減ってしまうケースも少なくありません。

この時期は、シニア用フードへの切り替えを検討するタイミングです。

★シニア用フードの「落とし穴」に注意しよう

シニア用フードの切り替えで気をつけたいのが、体重を「増やしたい」のか「減らしたい」のか。

先ほど述べたように、年を重ねると体重が増える子もいれば、食べても体重が減っていく子もいます。

しかしドッグフードは「シニア犬用」とひとくくりにされているため、”逆”を選んでしまっては大変です。

フードを切り替える前に、体重を増やしたいのか減らしたいのかを把握し、それに合ったフードを選ぶようにしましょう。

またシニア期(老犬期)は、歯周病が悪化しやすい時期でもあります。

歯の健康は全身の健康に直結するため、歯石除去(スケーリング)についても獣医師と相談してみてください。

📋 チェックポイント:
寝起きの様子を毎日観察してください。「起き上がるのに時間がかかる」「よろける」は、関節や神経に問題が出ているサインかもしれません。

「昨日できたことが、今日できなくなる」──

フェアリー期には、こうした変化が増えてきます。それを受け入れる心の準備も、飼い主には必要です。

また認知機能の低下が見られる子もいます。

夜鳴き、徘徊、方向感覚の喪失。こうした症状が出ても、叱らずに見守ってあげることが大切です。

またこの時期は、生活環境の見直しも重要になります。

関節に優しいベッドに変える、段差をなくすためのスロープを設置する、食事は少量頻回(1日3〜4回に分ける)にして消化器への負担を軽減する。

こうした「小さな配慮」の積み重ねが、フェアリー期のQOLを支えます。

運動については、無理に長い散歩をさせる必要はありません。

ただし完全に運動をやめてしまうのも良くないので、短い散歩やゆるい遊びで筋力と認知機能を維持することが大切です。

カートに乗せての「お出かけ散歩」も、外の空気を吸い、いろんな匂いを嗅ぐことで、良い刺激になります。

そして何より注意すべきは呼吸の変化。

シニア期の短頭種気道症候群(BOAS)は悪化しやすく、若い頃より気道が狭くなっているケースが多いです。

些細な変化も見逃さず、気になることがあれば動物病院を受診しましょう。

🐾 10年の現場から:
フェアリー期のフレブルと暮らすオーナーさんに共通しているのは、「焦らない」姿勢です。散歩で立ち止まっても急かさない。食べるのが遅くても見守る。排泄の失敗があっても怒らない。
その穏やかな空気が、フレブルにも伝わっているのだと感じます。

フレンチブルドッグの寿命は「犬種としての平均」に過ぎません。

日々のケアと環境づくりで、その子の持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

ここでは、特に効果が大きいと考える7つの取り組みを、優先度の高い順にお伝えします。

犬の肥満と寿命の関係については、はっきりとしたデータがあります。

2019年に発表されたリバプール大学の研究(Salt et al.)では、「適正体重の犬は、肥満の犬に比べて平均2.5年以上長生きする」ことが示されました。

フレンチブルドッグの場合、体重が1〜2kg増えただけでも呼吸への影響が大きいため、この影響はさらに深刻です。

まず、愛犬の理想体重を獣医師に確認してもらいましょう。

BCS(ボディコンディションスコア)という評価方法で、その子にとっての適正な体型を判定してもらえます。

家庭でできるセルフチェックとしては、「肋骨を触って確認する」方法が簡単です。

薄い脂肪越しに肋骨が触れればOK。触れなければ太りすぎのサインです。

おやつのカロリーは1日の摂取カロリーの10%以内に抑えることを意識してください。

フレンチブルドッグと暮らす上で、呼吸の観察は「最も大切な日課」と言えるかもしれません。

安静時の呼吸回数を把握しておくことが第一歩です。

正常な犬の安静時呼吸数は1分間に15〜30回ほど。

これを大きく超えている場合は、何らかの問題が隠れている可能性があります。

おすすめなのは、寝ているときの呼吸音を定期的にスマートフォンで録画しておくこと。

異変が起きたとき、獣医師に「以前の状態」と「今の状態」を比較して見せられると、診断の精度が格段に上がります。

また、興奮したあとに舌の色が紫がかっていないかを確認する習慣も大切です。

チアノーゼ(酸素不足による変色)は、見た目でわかる「緊急サイン」のひとつです。

フレンチブルドッグにとっての熱中症対策は「夏だけの問題」ではありません。

室内のエアコンは、夏場なら24〜25℃設定が目安。

湿度は50%前後に保てると理想的です。

散歩は気温が25℃以下の時間帯に限定し、アスファルトの温度にも注意してください。

手のひらを地面に5秒当てて「熱い」と感じたら、犬の肉球には危険な温度です。

車内への放置は、たとえ数分であっても命に関わります。

「ちょっとコンビニに」が取り返しのつかない事態を招くことがある。これは大げさな話ではなく、実際に起きている事故です。

クールマットやクールベストの活用も効果的ですが、過信は禁物。

あくまで「補助」として、基本はエアコンと散歩時間の管理で対応してください。

また冬場も、暖房の効きすぎには注意しましょう。

室温が高すぎると、短頭種はやはり呼吸が苦しくなってしまいます。

フードを選ぶとき、最初に確認してほしいのは「主原料が明確かどうか」です。

「肉類」という曖昧な表記ではなく、「鶏むね肉」「サーモン」と具体的に書いてあるフードを選んでください。

人工着色料や防腐剤を使用していないことも大切なポイントです。

そして、涙やけの記事でも詳しく書いた通り、同じタンパク源のフードを2年以上続けないことが、食物アレルギーの蓄積リスクを下げるために有効と考えられます。

鶏肉→魚→鹿肉→ラムというように、3〜6ヶ月おきにローテーションすることを習慣にしてみてください。

サプリメントとしては、オメガ3脂肪酸(魚油に含まれるDHA・EPA)が、皮膚の健康と関節の炎症抑制の両方に期待できます。

シニア期に入ったら、消化に優しいフードへの切り替えと、1日の食事回数を増やすことも検討してみてください。

運動は「やりすぎ」も「やらなすぎ」も良くありません。年齢に応じた適切な量を見極めることが大切です。

成犬期であれば、1日30分程度の散歩が目安。

ただし猛暑日や極寒日は無理をせず、屋内でのノーズワーク(おやつを隠して探させる遊び)などに切り替えましょう。

シニア期は散歩を15〜20分程度に短縮し、できるだけ平坦な道を選ぶようにします。

フェアリー期は、愛犬の体調を見ながら無理のない範囲で。

カートに乗せてのお出かけも、外の刺激を受けるという意味で立派な「運動」です。

注意してほしいのは、激しい運動は避けるということ。

ボール遊びでの全力ダッシュやドッグランでの興奮は、フレンチブルドッグの心肺に大きな負担をかけます。

楽しそうに走っていても、心臓と肺は悲鳴を上げているかもしれません。

健康診断は「病気になったから行くもの」ではなく、「病気になる前に行くもの」です。

成犬期は年1回、シニア期以降は年2回の総合検診をベースにしましょう。

血液検査、レントゲン、エコーを含む検査を受けることで、外からは見えない体の変化を早期にキャッチできます。

また、がんなどの重篤な疾患も、早期発見であれば治療の選択肢が大幅に広がります。

「元気だから大丈夫」と油断せず、定期健診を「愛犬の命への投資」と捉えてほしいと思います。

できれば、短頭種の診療に詳しい病院を見つけておくこと。

そしてかかりつけ医に加えて、必要なときにセカンドオピニオンを求められる病院も把握しておくと安心です。

長時間の留守番は、想像以上にストレスがかかります。

生活リズムをできるだけ一定に保つこと(食事・散歩・就寝の時間を揃える)は、犬にとって大きな安心材料になります。

また騒がしい環境よりも落ち着いた環境を好む犬種なので、テレビの音量や来客時の配慮も意識してあげてください。

多頭飼いの場合は、それぞれの子が安心できる「自分だけのスペース」を確保してあげることも大切です。

そして何より、毎日のスキンシップの時間を意識的につくること。

触れ合いは犬のストレスホルモン(コルチゾール)を低下させ、幸福ホルモン(オキシトシン)を上昇させることが研究で示されています。

これは飼い主側にも同じ効果があります。

愛犬を撫でる時間は、お互いの健康のための時間なのです。

この記事では、フレンチブルドッグの寿命について、データと経験の両面から深く掘り下げてきました。

改めて、大切なポイントを整理します。

テーマポイント
平均寿命10〜12歳。
全犬種平均(14.2歳)より約3年短い
短命の主な原因BOAS(呼吸器)、熱中症、肥満、
椎間板ヘルニア、皮膚疾患、腫瘍
10歳の壁多くのフレブルに体の変化が現れる節目。
人間換算で約56歳
フェアリー期10歳を超えたフレブルへの敬称。

一日一日が尊い時間
最高齢記録日本では約20歳の記録あり。
ケア次第で長寿のポテンシャルがある
最も大切なこと体重管理・呼吸の観察
熱中症対策・定期健診

最後に、とても個人的なことを伝えさせてください。

フレンチブルドッグの寿命が「他の犬種より短い」のは、残念ながら事実です。

けれど「何歳まで生きるか」だけが重要ではない。
そんなふうに思います。

長い時間を過ごすことだけが、幸せの尺度ではないはず。

毎朝起きたときに飼い主の顔を見て、しっぽの代わりにお尻を全力で振るあの姿。

散歩中にいきなり座り込んで「もう歩かない」と主張する頑固さや、ソファの上で器用に丸くなっていびきをかく寝顔。

フレンチブルドッグが教えてくれるのは、「今この瞬間を全力で生きる」ということだと思います。

だからこそ、私たち飼い主にできることは、その「今」をできるだけ長く、できるだけ健やかに、できるだけ幸せに過ごせるようにサポートすること。

「短命」という言葉に振り回されるのではなく、目の前のフレブルとの毎日を、全力で楽しんでいきましょう。

大丈夫、あなたには「フレブルオーナー」という心強い味方がたくさんついています。

参考文献


  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
chika

フレンチブルドッグ歴16年。 1万頭以上のフレブルに出会ってきたのが自慢。 Instagram:@chica.y

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